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少し愛して
第13章 千佳の母
その後、八重は千佳に看取られこの世を去った。
まだ65歳という若さだった。
千佳は自分を責めた。
自分が前日看病を休まなければ八重はまだ生きていたかもしれない。
そう、思っていたのである。
だが、やはり八重は寿命だったのだ。
八重の葬儀は自身が残してくれた預貯金で賄うことができた。
一通り立派な葬式ができたと千佳は思っていた。
八重が亡くなったことで千佳の精神状態は益々不安定なものになっていった。
佑貴との関係もギクシャクし始めたのだ。
千佳は八重を亡くしたことで佑貴から優しい言葉を掛けてほしかった。
しかし、佑貴は何も言ってはくれなかった。
千佳のうつ病は益々酷くなり、八重を喪ったことで“喪失うつ”になってしまったのだった。
佑貴との関係ももうこれまでかと思えるようになっていた。
千佳は佑貴と別れる事を考えるようになっていった。