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少し愛して
第14章 別れ
佑貴が塩釜から戻ってきた翌日。
千佳は佑貴に離婚届を差し出した。
「え?なに?」
「離婚届よ。サインしてハンコ押してね…」
佑貴はそれを聞くと黙ってしまった。
そして佑貴はこう言った。
「ちょっと1週間待ってくれないか…」
「分かったわ…」
こうして、離婚届は1週間保留にされた。
千佳はそのまま、離婚届はサインされずに終わるかと思っていた。
だが、1週間後、佑貴はサインをして離婚届を千佳に渡したのだ。
千佳は内心ホッとしていたが、複雑な気持ちだった。
その後、千佳は2匹の猫を連れて、二人が過ごしたマンションを出ていったのである。
同棲してから8年後の事であった。
千佳は離婚届を役所に出すとき、離婚届とは別に1枚の書類にサインしていた。
その書類とはこの先一生、福山姓を名乗る為の書類だった。
千佳は離婚した後でも福山姓を名乗っていたのである。
こうして二人は別れてしまったのだ。