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少し愛して
第7章 結婚生活
「それ、使いすぎるから没収ね…」
「え?何で?」
「だって、いつもリボで支払いしてるでしょ?お金もったいないから」
「じゃ、私は何で買い物したらいいの?」
「俺のクレジットカードの家族カード作るから、何か買うときは俺に言ってから買って」
「そうなの…わかったわ」
そうは言ったものの、その言葉を聞いた時、自分は佑貴から信頼されていないのだと千佳は感じていた。
籍を入れたと同時の出来事だった。
千佳は少しショックだったのだ。
それが、原因でその後二人の関係はギクシャクしてゆくのだった。
お金に対して佑貴はとてもある意味ケチであった。
良く言えば堅実な性格だったと言えよう。
それは、早くにして亡くなった佑貴の父の影響が大きかったかもしれない。
佑貴の父は42歳の若さでこの世を去っている。
佑貴がまだ小学6年生のころであった。
その後、残された母、佳代は女手ひとつで佑貴と弟の亘を育て上げ、佑貴を東北大学の工学部に入学させたのだ。
そんな理由からか、佑貴はお金に対してとてもシビアだった。
千佳は佑貴と結婚するまで佑貴が東北大学出身だとは知らなかった。
佑貴の学歴などある意味興味がなかったのだ。
でも、佑貴はエリートだった。
そのエリート魂は千佳には想像できない凄いものがあった。