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少し愛して
第8章  セックスレス

千佳が行こうとしていた心療内科は江田駅から4駅先の鷺沼駅にあった。
事前に予約してあったので、直ぐに医師に診てもらえることになった。

医師の名前は平口正彦と言った。
年齢は60歳くらいである。

その平口に千佳は相談した。

「夜眠れなくて困ってるんですけど…」
「何か思い当たることはないですか?」

「はい、最近夫とセックスレスなんです」
「それは、深刻ですね」

「はい、それで直接本人に聞いてみたんです」
「何を聞いてみたんですか?」

「なぜ、セックスしてくれないのか?って」
「そしたら旦那さんはなんて言いました?」

「別に、今日しなくてもいいから…って言われました」
「それはね、旦那さんの甘えだね」

「甘えですか?」
「そう、君に甘えてるんだよ」

千佳はそれを聞くと黙ってしまった。
尚も続けて聞いてみた。

「それでは、どうしたら良いのですか?」
「暫く、様子を見るしかないね」

「そうですか…」
「それより、君は眠れないんだろう?」


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