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欲しいんでしょ
第3章 指夢
(やっぱりちょっと怖いかも…)
実験棟の目の前まで来て、今更そう思った。
でも卓には逆らえない。
あの写真が消されない限り。
誰もいないと分かっていたが、何故かノックをして扉を開けた。
…誰もいない。
あたしは取り敢えず扉を閉める。
窓から差す光に、埃がキラキラと反射して見えた。
あたしはくしゃみを一回だけして、辺りを見回した。
(あ、二階。)
忘れていたが実験棟は二階まである。
あたしは今にも壊れそうな汚い階段を恐る恐る登っていった。
「卓…いる…?」
二階は一階とは違い、窓にカーテンが掛かっていて、薄暗い。
ボロボロのカーテンから少し差している光で、床に椅子が2、3個転がっているのが見えた。
(ほんとに…出そう。)
あたしは恐怖で身を固まらせた。
心臓が少し早く動くのが分かる。
瞬間、
「わっ!!!」
「きゃあああぁあぁあ!!!」
急に後ろから驚かされ、悲鳴をあげてしまった。
「っ…!うるせーよ!」
「え!あ、卓!?」
振り向くと顔をしかめて耳を塞いでいる卓の姿がある。