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欲しいんでしょ
第9章 俺が ~卓side~
俺の部屋から見える早苗は泣いていた。
「ごめんな…」
俺の一番大切な人。
俺が泣かせた。
「くっ…そぉ!」
声を殺して壁を殴った。
身体中がムカムカしてやりきれない。
頭の中には凛とした顔で悪魔の様な事を口にする、後輩の笑顔。
(違う、早苗の為だ。そうしないと、早苗が…!)
その時、一通のメールが届いた。
イライラしながらも確認する。
『早苗先輩には私から言っておきました。
約束、守ってくださいね(^^)』
携帯を、壊してやりたい。
「あの女…!」
荒くなった息を抑えつつ、窓の外を見た。
早苗はもういなくなっていて、とぼとぼと家に帰る後ろ姿だけが見える。
もう一度だけごめんと呟き、カーテンを閉めた。