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全部、夏のせい
第15章 別離
スイスに戻って3年目の冬から春にかけて、
あの新型のウィルスが猛威を奮い始めた。

最初はあまりにも情報が少なかった。
そこまで深刻な状況になって、
突然の別れが来ることも、考えても居なかった。


アダムとアリは、医学生としてアメリカに居た。

そして、我が家の三男になった小さいアリは、
リルと呼んでいて、
身長が私よりずっと大きくなって、
スイスの寄宿学校に入っていた。



最初にそれに感染したのはお義父様で、
幸いにも重篤化することはなかった。

最良の医療も受けれたこともあり、
2週間ほどの入院で、
帰宅することが出来た。


それなのに、その後、
アラム、そしてその後私が罹った時は、
病院の状況がとても逼迫していて、
それぞれ、違う病院に担ぎ込まれることになって、
家族の面会も勿論全て遮断されたまま、
私はなんとか回復することが出来たのに、
アラムは…そのまま、私達の元に帰って来ることが出来なかった。


まるで、悪い夢を観ているようで、
私はそれを現実として受け入れることも出来ずにいた。


荼毘にふされて、
日本式にとお願いしていたので、
骨壷に入れられた状態でアラムが戻ってきたのは、
亡くなったという知らせから2ヶ月も経った後だった。


子供たちも、日本の両親達も、
渡航制限もあり、勿論、お葬式を出すことも出来ないまま、
私は寝室に祭壇のようなものを作って、
アラムと過ごすような気持ちで、
毎日をただ、やり過ごしていた。


その頃の記憶は、
正直、全く残っていない。


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