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暗い部屋の中の 水音
第2章 隆
ベッドに横に成り 洋美の頭を腕に乗せ
「一つ 終わったから 暫くは早く帰れる」
隆が言うと 洋美は嬉しそうに抱き着いて来た
1か月が立ち 隆は前回の契約を高く評価され
新たなプロジェクトの責任者へと抜擢され
半年は掛かるであろう 現場を任される事に成り
毎日の様に 帰るのは終電近くに成って行った
帰宅すると テーブルには洋美の作った料理が並び
隆はそれに手を付けない日々が続いていた
ある日 取引先との商談の為 取引先近くのコーヒーショップで
部下と最終確認をしている時
目の前の通りを 洋美が背の高い男性と腕を組み
通りすぎて行った コーヒーショップの窓ガラスは
外からは 鏡の様に見え
薄暗い店内からは 通りすぎる人の姿が
はっきりと見える
隆は思わず 洋美を目で追っていた
・・・嘘だろう!!!・・・ 人違い?・・・
部下から 課長と呼ばれ はっとして
「すまん!!」
一言、言うとコーヒーショップを飛び出し 洋美の後を追った
20メーターほど追ったが 洋美の姿は 見えない
交差点に立ち途方にくれ
右に行くとラブホ街
左は有名な百貨店が何軒か
真っ直ぐ行くと 駅への 交差点だった
隆の中で 何故洋美が? この街へ?
洋美の勤務先でも 自宅からも 遠い此処へ?
疑問と 目の前で 男と腕を組み 見上げる表情に
男と女の匂いを感じ
黒い思いが 体の中を駆け巡って行った
コーヒーショップへ戻り 知り合いが前を通ったから
挨拶を交わして来たと 説明をして 商談へと向かった