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女優なんて…
第14章 初舞台

丁度そのころ私は
明日のお芝居の初日のために
出演者の衣装チェックとメイク道具の確認を終えたところでした。

今日は明日からのお芝居の最終立ち稽古だと聞かされていたので、仕事を終えると控え室を飛び出して
勉強のためにお芝居を見せてもらおうと客席の方へ向かったんです。

立ち稽古の邪魔になってはいけないと
観客席の後部ドアから静かに客席に足を踏み入れました。

舞台上を見て、私は凍りつきました。
だって…主演女優のメリーさんが裸にされて
これまた裸の相手役である清水さんが
舞台上に置かれてあるベッドの上で「ナニ」をしていたんですから…

「逝くぅ!逝くっ!!」

劇場内にはメリーさんのあえぎ声が反響しています。
『これが…お芝居?』
これではストリップ劇場の「まな板ショー」(舞台上で男女が本番行為を見せること)ではないですか!

私は思わず「あなたたち!何をしているんですか!」と大きな声をあげてしまいました。

私の声に驚いたのか
ベッドの上の二人の動きがピタリと止まった。

そして近藤監督が私の方を見やり
「声を出すなぁ!芝居の邪魔だ!!」と罵声を浴びせた。

「芝居?演技ですよね?
でも、私からは本番挿入しているようにしか見えません!」

私は逆らって納得がいかないと申し出ました。
私の心の中に大白川監督の「きみぃ、これこそがリアリティーなんだよ」という言葉を思い出していた。

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