この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
ひだまりのねこ
第2章 拾う
ここに置いておけば誰にも気づかれることはなかった。
優佳は普通に仕事をしていった。
朝、店長に挨拶をすると、直ぐに店長も正社員の人も外出してしまうのだ。
優佳はいつもひとりで事務の仕事をしていたのである。
子猫はお腹が空くと「ミーミー」と鳴いて知らせた。
その声を聞くと優佳は子猫をコスメポーチから出してミルクを与えた。
子猫はお腹がいっぱいになるとまたぐっすりと眠ってしまうのだ。
こんな事が2~3週間ほど続いて行った。
子猫はようやく離乳食が食べられるようになってきた。
優佳はカルカンの子猫用パウチを買って食べさせてみた。
「子猫ちゃん、さ、食べてみて」
「(美味しそう)」
すると、物凄い速さで食べてしまうのだ。
パウチ1袋では足りない様であった。
もう1袋あげてみる。
すると、瞬く間に食べてしまう。
「(僕、お腹いっぱいで眠くなってきた…)」
そう一声鳴くとその後は決まって部屋のフローリングの至る所に寝転がって眠ってしまうのだ。
その光景は実に微笑ましいものだった。
毎回そんな姿を見ては、優佳は笑っていたのである。
この時点で、里子の話しは消えたのだった。