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ひだまりのねこ
第2章 拾う
雅人も聞き耳を立てる。
すると、また小さな声で「ミー!ミー!」と言う音が聞こえてきた。
「雅人、もしかしたら…」
そう優佳は言うと暗闇の中、玄関を開け放ち外に出ていった。
その「ミー!ミー!」と言うものを探しに行ったのだ。
外は雨が降っていた。
優佳は傘もささずにその声の主を探した。
もう、外は暗くなっていた。
外は灯かりも付いていなかったのでその声を頼りに優佳は探した。
すると、地面に何やら小さな塊がうごめいて鳴いていた。
それは“まっくろくろすけ”の様な感じだった。
その、まっくろくろすけの様な塊は優佳の足元をめがけてヨチヨチと歩いてくるのである。
優佳はそのまっくろくろすけが歩いてくるのを待った。
一生懸命、必死になり鳴きながらその黒い塊はゆっくりと歩いてきた。
そして、ようやく優佳の足元にやってきた。
足元に来てもその黒い塊はミーミーと鳴いているのである。
優佳はその黒い塊を指でつまんで持ち上げた。
自分の手のひらに乗せてみたのだ。
丁度、片手に乗るくらいの大きさだった。
優佳はその生き物のしっぽの長さを確認するかのように触ってみた。
そのしっぽは真っ直ぐに長く伸びていたのだ。
優佳は急いで自宅に戻った。
その黒い塊を明るい所で見たかったのである。