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ひだまりのねこ
第2章  拾う

部屋に入ってから確認してみた。
その黒い塊は猫だったのだ。

そう、黒猫の子猫だったのである。
優佳はその子猫の身体を優しくタオルで拭いてあげた。

雨の中、この子猫は一生懸命鳴き続けてきたのだ。
身体も少し冷えていた。

タオルに包んで手の中で温めた。
そうすると、少し落ち着いた様だった。

可愛らしい顔を見てみた。
左目は白く濁っていた。

雅人が話しかけてくる。

「まだ、乳飲み子じゃん?片目もおかしいよな?」

「そうね、片目は見えないかも知れないわ。他にも捨てられてる子がいるみたい。あちこちから声が聞こえるもの」

「ヒデー事する奴がいるんだな…」
「本当にそう感じるわ」

優佳はちょっと怒ったようにそう言った。
確かに、優佳が外に出た時、あちこちから鳴き声が聞こえていたのだ。

子猫はお腹を空かせている様であった。
雅人がこう言ってくる。

「今日の華山行きは中止だな」
「そうね、この子拾っちゃったし、気になるし」

「その子の面倒見てやれよ」

「うん、ありがとう。そうするわ」
「じゃ、俺は帰るから。また来るよ」

そう言うと雅人は玄関を出て自分の車で帰っていった。

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