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夫婦で妊活旅行に行く話
第4章 白浜観光をしよう! ①
ののかの目には俺の腕にある
このパンダのぬいぐるみが
今はまだ見ぬ
未来の自分の子供みたいに
見えているのかも知れないけど…
「うん、透真…、そうだね。
それがいいと思うよ。素敵。
透真、私も…、私もそうしたいな」
透真と私は 今は夫婦だけど
子供が出来て家族として
家族の思い出を沢山
アドベンチャーワールドで作りたいなって
「ののか」
透真が 自分が持っていた
そのパンダのぬいぐるみを
ののかの腕に抱かせて来て
受け取ったそのパンダを
思わず無意識の内に我が子を
抱く様にして受け取ってしまっていた
ぎゅ…と ののかが
透真の服の裾を
そのパンダを抱きながら掴んで来て
「ねぇ、透真ぁ…、今日はね、
この子達、2匹を連れて帰るでしょう?
その……ね、このパンダの夫婦にも
早く、赤ちゃんが出来たらいいなぁって…
だから…ね?その…ッ」
ほんのりと頬を赤くしながらののかが
透真の服の裾を掴んでいた手を
ぎゅっと透真に握られてしまって
「そうだな、パンダの夫婦にも
早めに子供が出来るといいよな?
ののかもそう思うだろ?」
こっちが含ませて言った意味合いを
透真が理解してくれた様で
そう握った手を掴んで
腰を身体に引き寄せられてしまった
「じゃあ…、ののかさ、
会計を済ませたら、あっち…に
寄り道しないで真っすぐ帰る?
ののかからの、貴重な折角のお誘いだし?」
そう甘い熱を帯びた声で
透真が耳元で囁いて来て
透真のその言葉にコクリと
ののかが自分の首を縦に振った
会社へのお土産数点と
大きなパンダのぬいぐるみ 2点を
スーベニアショップで購入すると
アドベンチャーワールドを後にして
駐車場に停めていた車に乗り込んだ
ルームミラーで後部座席を見ると
シートベルトを締めた
大きなパンダのぬいぐるみが2頭
後部座席で 仲良く並んでいる
さっき ののかが
このパンダを自分の子の様にして
抱き締めていたのも
何となくに分かってしまう
自分が居るのは確かで
その後部座席から感じる存在感は
まるで俺を数年後の未来に
連れて行ってくれるかの様にも感じる
助手席には ののかが居て
後部座席には子供が2人いて
きっとそうなれば 車内は賑やかだろうな
そんな事を帰りの車を運転しながら
透真は考えていた