この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
キラーアイドル 特別編
第1章 逃亡犯
自分自身で心の中に僅かな「希望」というポジティブな単語が思い浮かぶことなど、今まで数えるくらいしかなかった。
施設内に案内されると、アサミは白い壁と控えめな照明の廊下が広がっているのを見ました。その廊下には静謐な雰囲気が漂っており、彼女は落ち着きを取り戻しつつありました。
何だか温かい。身体ではない。心が解放されるような穏やかな気持ちになる。束縛されなくていい。もうわたしの生活から。あれは生活ではない。縛りつけの拘束。監禁状態のような監視された生活。
いつも不安だった。ドキドキしていた。もうあんな生活は嫌だ。戻りたくない。そんな自分が心の隙間から外に這い出てこようとしている。
わたしは胸を両手で抑えて締め付ける。ダメ。出てきてはいけない。わたしはマシン。機械なんだ。精密に与えられたプログラムを完璧にこなすだけの道具。人ではない人で無しだ。
こんな施設での生活なんてわたしにとって「アイドリング」停止状態の無駄な時間でしかない。
はやく服役を終えて戻らないと。
「アサミさん?何してるの。こっちです。」
法務教官が案内してくれ、一つの部屋に入ると、そこにはシンプルなベッドとテーブル、窓から差し込む光がありました。
刑務所じゃなくて、更生するための施設ですからね。
あなたの場合はカウンセリングも兼ねてます。
言わば、学校みたいなものよ。気楽に考えなさい。
「こちらがあなたの部屋です。お荷物は片付けていただいて結構です。ここで落ち着いて、自分自身と向き合っていただきます。何かお困りのことがあれば、いつでも我々スタッフに声をかけてください。言い忘れましたが、あなたには相部屋を使ってもらいます。ルームメイトがいらっしゃるので、仲良くしていくことから始めてもらいます。」
あの…その方は今どこに?
今、別室であなたのようにカウンセリングを受けてます。
あなたのことはまだ彼女には内緒にしています。
女性ですか?
ええ、もちろんでしょ。男性と同室にしたらどんな過ちが起こるか分かりませんからね。
別に…わたしはなんでもいいです。処女じゃありませんし。
わたしにとって、肉体も武器のひとつなんです。
そう身体に叩き込まれてきました。道具なんです。
わたしの気持ちも身体も…。
曲売りたいなら…コンサートをしたいなら…番組に出演したいなら…それ以上は言いません。
施設内に案内されると、アサミは白い壁と控えめな照明の廊下が広がっているのを見ました。その廊下には静謐な雰囲気が漂っており、彼女は落ち着きを取り戻しつつありました。
何だか温かい。身体ではない。心が解放されるような穏やかな気持ちになる。束縛されなくていい。もうわたしの生活から。あれは生活ではない。縛りつけの拘束。監禁状態のような監視された生活。
いつも不安だった。ドキドキしていた。もうあんな生活は嫌だ。戻りたくない。そんな自分が心の隙間から外に這い出てこようとしている。
わたしは胸を両手で抑えて締め付ける。ダメ。出てきてはいけない。わたしはマシン。機械なんだ。精密に与えられたプログラムを完璧にこなすだけの道具。人ではない人で無しだ。
こんな施設での生活なんてわたしにとって「アイドリング」停止状態の無駄な時間でしかない。
はやく服役を終えて戻らないと。
「アサミさん?何してるの。こっちです。」
法務教官が案内してくれ、一つの部屋に入ると、そこにはシンプルなベッドとテーブル、窓から差し込む光がありました。
刑務所じゃなくて、更生するための施設ですからね。
あなたの場合はカウンセリングも兼ねてます。
言わば、学校みたいなものよ。気楽に考えなさい。
「こちらがあなたの部屋です。お荷物は片付けていただいて結構です。ここで落ち着いて、自分自身と向き合っていただきます。何かお困りのことがあれば、いつでも我々スタッフに声をかけてください。言い忘れましたが、あなたには相部屋を使ってもらいます。ルームメイトがいらっしゃるので、仲良くしていくことから始めてもらいます。」
あの…その方は今どこに?
今、別室であなたのようにカウンセリングを受けてます。
あなたのことはまだ彼女には内緒にしています。
女性ですか?
ええ、もちろんでしょ。男性と同室にしたらどんな過ちが起こるか分かりませんからね。
別に…わたしはなんでもいいです。処女じゃありませんし。
わたしにとって、肉体も武器のひとつなんです。
そう身体に叩き込まれてきました。道具なんです。
わたしの気持ちも身体も…。
曲売りたいなら…コンサートをしたいなら…番組に出演したいなら…それ以上は言いません。