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キラーアイドル 特別編
第1章 逃亡犯
壁際に身体を這わせるようにするとなぜか気持ちが少しだけ和らぐ。
足音は部屋の前で止まり、廊下から囁くような話し声が聞こえる。
ヤツらだわ。ヤツらがきたのよ…いやぁぁぁーーー!やめて!
ガチャ!アサミさん!アサミさん!どうしたの?
大丈夫よ。大丈夫だから…ね?落ち着いて。
深呼吸しましょう。深呼吸…ふう、ふう、ふぅ…
カウンセラーはわたしを胸の間に抱き締めると優しく背中をトントン…と叩く。まるで母親の心音のように。
…落ち着いた?アサミさん。
彼女よ。あなたのルームメイトは。
アサミはカウンセラーの胸からそっと顔をブルブルと震わせながら、覗き込む。
そこには小柄な女性が荷物を前にしてちょこんと立っていた。
「こんにちは!」
ふ…ふ…ふー♬ふん…ふーん♪
わたしはメロディを鼻歌で奏でていた。何故か落ち着く曲がある。「キラーアイドル」の楽曲ではない。昔、聴いたことのある曲だった。たまに思い浮かぶ。わたしの記憶の奥底に置き去りにされたようだった。誰だろう。わたしを抱っこして、肩車して。お父さん?
お父さんはわたしが幼い頃にこの世を去っていた。父は子煩悩だったと母から聞かされたことがある。
その曲がいつもわたしの脳裏から離れなかった。
落ち着く…お父さん。
アサミ…アサミ…アサミ!アサミさん!大丈夫?
ハッ!わたしは我を失っていた。
…は、はい。大丈夫です。落ち着きました。
ご迷惑おかけして申し訳ありません。
彼女よ。あなたのルームメイトの結花ちゃん。
小柄な女性はわたしに頭を下げてきた。ニコッと笑って微笑む彼女には愛くるしさがあった。
わたしは相変わらずカウンセラーの胸に抱かれながらも女性の顔を見つめていた。見つめるというより睨んでいた。
身を震わせながら。わたしは片時もカウンセラーの両腕を離さなかった。
カウンセラーから急いで離れてベッドに入り込むと掛け布団を頭から被り、横になり身体を丸めていた。
結花さん。あなたのお部屋です。彼女はあなたのルームメイトの…。
来栖アサミさん!ですよね?
結花はカウンセラーの小百合に叫んだ。
シィ…静かに。大声で怒鳴ったり叫んだりしないように。
小百合はアサミに聞こえない程度の囁くくらいの微かな声で結花に話し始めた。
ネグレストやパニック障害や認知症の人にはそういう行為が1番いけないの。また間違えても後ろから声をかけたりしないようにね。
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