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因果応報
第4章 若いオトコ
「松本さん、お疲れ様!」と声を掛けると、
困ったような表情を一瞬見せて、

「渡辺課長、お疲れ様でございます」と立ち上がって一礼するけど、
同席している男の子のことは紹介するつもりはないという顔をしていた。


「日曜日はエルメスの前で見掛けたけど、
今日はその時の人と一緒じゃないのね?」と言いながら、
ソファ席に置いたバッグを見る。


多分、プリュム…かな?
コピー品ではない、どう考えても本物のヤツ。
でも新品には見えなくて、あれっと思った。

きちんと手入れはしているけど、
結構使い込まれている感じがした。

でも、目立たない地味なバッグだけど、
うちの会社にエルメスを普通に持って会社に来るオンナが居るとはね。
それもきっと、「パパ」が買ったヤツでしょ?

そう思いながら、
松本杏奈を見ていると、

「先に帰ってて?」と小さい声で囁くように言っている。

男の子はアタシのことは全く無視して、
リュックサックを肩から掛けて出て行ってしまった。


「あら。
デートの邪魔、しちゃったかしら?」と言っても、
松本杏奈は顔色一つ変えずに、

「そろそろ帰ろうと思っていたので…」と言うと、

「課長はどなたかとお待ち合わせですか?
それでは、わたくしはお先に失礼します」とお辞儀をして、
二人分のマグカップを持つとカウンターに返してそのまま店を出てしまった。


全然、アタシの嫌味を気にしてなかった?
先に帰ってて?って聴こえたけど、
一緒に住んでるのかな?


あれこれ考えながら、
先週も行った店でテキーラを引っ掛けてから帰宅した。
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