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因果応報
第10章 新たな出逢い
改めてそのオトコの顔を見てみたけど、
全く覚えてなかった。

多分、そのことはアタシの表情にも出ていたんだろう。


「覚えてない…ですよね?
たくさんの方と名刺交換してただろうし、
僕なんて地味で目立たなかっただろうし」

そう言われても、1ミリも思い出せなくて、
少し面倒になってイライラしてしまう。

手術後、明らかに以前にも増して怒りっぽくなったような気がする。



「ん?
ディスプレイ、少し割れてますね?」

いや、これは前からだし。


「弁償させてください」


そう言われて、何か言わないとと思うけど、
上手く言葉が出て来ない。


「この時間じゃ、ケータイショップ、閉まってるかな?
あ、立ち話もなんだし、
どこかで座って、連絡先交換して、
修理のこととか相談しませんか?」


そう言うと、アタシの重たいパソコンの入ったバッグを持ってくれると、
促されるように歩き出した。



「ここで良いですか?
行きつけの店なんですよ」と、
少し重たそうなドアを開けて、小洒落たバーに案内される。


カウンターのスツールを少し引いてくれるのでそのまま座って相手の横顔を見てみるけど、
やっぱり思い出せなかった。



バーテンがおしぼりを出しながら、

「渡辺さん、女性連れなんて珍しいですね?
いつもので?
それとも、最初はビールですか?」と言われて、

「えっ?」と声が出てしまう。


ああ。
このオトコも、渡辺っていうのかとぼんやり思いながらも、
そのまま、二人で飲み始めた。
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