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さよならから始まる恋物語【Love story】~雪の女王~
第4章 SideⅣ(沙絢)~雪の女王~
そのときだった。それまで静まり返っていた水面に漣が立った。見れば、白鳥ボートが猛スピードでこちらに近づいてくる。
「お父さん、頑張って」
ボートには小学生高学年と低学年らしい女の子二人と父親が乗っている。
「お母さんー」
二人が口々に手を振っている。池のほとりには、ほっそりとした女性の姿が見えた。こちらも家族連れだろう。先ほどの夫婦よりはやや年上で、三十代後半に見える。