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おとなの女性の為のえっちな恋愛カタログ
第3章 カタログNO 2 呼びたい男と呼ばない女 後編
ひらり ひらりと

その蝶が こちらへと向かって来て

自分のすぐ 目の前に飛んで来ると


無意識に自分の手を

その蝶に向けている自分が居て


その蝶が 眼前から

更に 迫って来て


自分の身体を抜けて

後ろ側のスクリーンへと


吸い込まれて行くと


こっちを見て 笑っている
宇梶とふいに視線がぶつかって


今の一連の行動を見られていたのかと
恥ずかしくなって来てしまった


ぽつ ぽつと 床に雨が落ちて


そこから 無数の波紋が

生まれては消えて


そうして 雨が降りしきる内に

自分の足元に水が満ちて行くのが見えて



青い 水の中の世界に


周囲から沈んで行く


その中に 魚が泳ぐ影が見えて


自分が今 海の中に居るのだと

目まぐるしく変化していく

その立体的な情景に 目を凝らす


キラキラと光る身体を持つ

鰯の大群が 一面のスクリーンに


円を描いて 泳ぐ様が


映し出されていて



映像から飛び出した 鰯が



立体的に こちらへと
海の中の世界から進出して来て


銀色に輝く 鰯の大群に

自分達が飲み込まれて行く


海の底の部分である床の映像が
青をベースとした 万華鏡の映像に
段々と移り変わって行って


その 床の万華鏡の映像から

次から次へと 気泡が 立ち始めて


床から上へと登って行く


その 無数の 上に向かって

海の中を 昇って行く 気泡が


自分の前の前を次々に上がって行く


「宇梶さんっ、これ…500円で
これ、見られるとか、驚きです…ッ」


20分間の 幻想的な
世界の旅から戻ると

売店の様な建物が見えて

「ミュージアムショップ…。
万華鏡を売ってるんですかね?」

「勿論、万華鏡売ってるに
決まってるじゃんっ、
あそこの展示品も言えば
購入できるらしいけど?」

その建物の中に入ると

棚に沢山の万華鏡が並んでいて

その値段も…お手頃なのは

千円以下の物から
数千円…の物があって

覗いてお気に入りを探してもいいと

そう書いてあるので

その張り紙にあったので

売り物の万華鏡を
ひとつひとつ 
嬉しそうな顔をしながら
覗き込んでいる

その あいりの横顔を
宇梶はしばらく眺めていた

宇梶がレジに向かって行って
レジの横の呼び鈴を鳴らした

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