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Squall(スコール)〜ボクっ娘は雨に濡れて拾われる
第5章 雨
 舌打ちした彼は、大股に、そっちのドアを開けて左へ、薄暗い廊下を進んでいった。迷路のように入り組んだ廊下を、聞こえてくる声を頼りに大股に歩みを進める。

 やがて彼の前方に、床にうずくまった人影が。彼の姿を認めて、よろよろと立ち上がった。

 ダブダブの白いシャツの袖をまくり、シャツの裾から細い素足が伸びている。

「おい」

 呼びかけた征也の胸に飛び込んできたのはスミカだ。
 
「ううっ、う」

 泣きじゃくりながら彼に抱きつく。

「すまん。間違えた」
「う、うう」
「わりい。ごめん」
「…怖かったよう」
「すまんな。悪かったよ」

 抱きついているスミカの肩をそっと抱き、頭をそっと撫でた。

「戻ろう。スミカ」
「う…うっ」

 俯いた頭がかすかにうなずく。何か言っている。

「なんだスミカ」
「…い」

 声がくぐもっていて聞こえない。

「どうした」
「あの…う」
「なんだ」
「トイレに行きたい」
「ああ…だよな。すまん」
「早くしないと」
「ん?なんだスミカ」
「漏れちゃう」

 華奢な肩を抱き、急いでトイレに向かう彼であった。
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