この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Squall(スコール)〜ボクっ娘は雨に濡れて拾われる
第11章 雨女を抱く

スミカの反応は今ひとつだ。理解させるために、彼は壁際の書棚に並んでいる本から一冊を抜き取り、
「ほら。これだ」
スミカへ向かって投げてよこした。
"追放された悪役令嬢はドSのイケメン侯爵に溺愛される"
キャッチーなタイトルが派手なフォントで踊る表紙を見たとたんに、スミカのつぶらな瞳が大きく輝いた。
「これ、知ってます」
「その原作者が俺なんだよ」
「大人気の漫画じゃないですか!」
「ふん。らしいな」
「で、でも、原作は、紫月あかね先生って」
「その、紫月(しづき)あかねが俺なんだ」
「は? 嘘でしょ」
「嘘じゃないって。おまえに嘘をついてどうするよ」
目を丸くしたスミカがコミックと彼の顔を交互に見比べている。その表情に驚きと懐疑が浮かんでいる。
「信じられねえか。人気作家の紫月あかねの正体がこんなオッサンじゃあ無理もない……」
「サインください!」
「……あ?」
「大ファンなんです! 紫月先生の」
「あ……ええと。そのう。いや。ハハ、ありがとう。っていうか、絵を描いている山村麗華先生のファンだろうが?」
「なんでもいいです。ファンなんで」
一瞬、ポカンとしたが、
「ほら。これだ」
スミカへ向かって投げてよこした。
"追放された悪役令嬢はドSのイケメン侯爵に溺愛される"
キャッチーなタイトルが派手なフォントで踊る表紙を見たとたんに、スミカのつぶらな瞳が大きく輝いた。
「これ、知ってます」
「その原作者が俺なんだよ」
「大人気の漫画じゃないですか!」
「ふん。らしいな」
「で、でも、原作は、紫月あかね先生って」
「その、紫月(しづき)あかねが俺なんだ」
「は? 嘘でしょ」
「嘘じゃないって。おまえに嘘をついてどうするよ」
目を丸くしたスミカがコミックと彼の顔を交互に見比べている。その表情に驚きと懐疑が浮かんでいる。
「信じられねえか。人気作家の紫月あかねの正体がこんなオッサンじゃあ無理もない……」
「サインください!」
「……あ?」
「大ファンなんです! 紫月先生の」
「あ……ええと。そのう。いや。ハハ、ありがとう。っていうか、絵を描いている山村麗華先生のファンだろうが?」
「なんでもいいです。ファンなんで」
一瞬、ポカンとしたが、

