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嘘つきは恋の始まり
第2章 そ
「チコちゃんから連絡をくれるとはね」

会社から2つ目の駅ビルの中に入っているバーを指定され
待つこと30分。

こんなに早く来るとは思わなかった。
私、定時で上がったよね?
経営管理、こんなに早く上がれないでしょ?


「は、早かったね」
「あ~・・・残りの仕事、持ってきちゃった。
週末に家でやるからいいよ。
チコちゃん待たせて帰られちゃうと思ったら、会社出てた」

うわ・・・
素直だな。

野口さんって私より年上だよね?
桐生さんのほのめかすような大人の会話に慣れている私は
ストレートな野口さんにびっくりした。

「チコちゃん・・・・見えてるけど・・・」

カウンター席で隣に座った野口さんは
小さくため息を漏らして
苦笑いをした。

あ・・・・


日にちが経って油断してた。
今日はノーカラーのブラウスだった。

うっすらと残るキスマークは
近寄らないと分からないほどだったけど
近くで見ればそれだとわかるはず。

「ごめん・・・なさい」
「いいよ。謝らなくても。チコちゃんに彼氏がいることは気がついていたし」
「そうなの?」
「うん。でも、それでも今日俺に電話くれたのはなんで?」

年上のはずなのに・・・
少年みたいな綺麗な笑顔で私のことを覗き込むから。
自分のしていることが
とっても汚いことに思えて。

胸が苦しくなる。



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