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嘘つきは恋の始まり
第4章 き
俺はぎりぎりに出社してそのまま朝一の会議に向かった。

今日の午前中に決定しなければならない案件がまとまらず
結局お昼直前までかかった。

もうここから仕事しても中途半端だ。
このまま社食に行くか。

「野口。今まで会議?」
あぁ。山田か。
「例の案件。上層部の意見ががまとまらねーんだよ」
「あ~。あれか。それよりお前さ。昨日チコちゃん、泊った?」
「・・・・なんで?」
「すっっっっげー噂になってんぞ?」
「・・・・・・」
「チコちゃん同じ服で、しかも朝一緒に来ただろ?すっっっっげー噂になってんぞ?」
「2回言わなくても分かった」
「どーすんの?」
「どーすんの、じゃないの。思惑どおりなの。外堀から固めてんの」
「へ~・・・策士じゃん。さすが経管のエース!」
「・・・・いやみ言うなよ」
「お前が外堀から固めないと手に入らないなんてすごいね?チコちゃんお前に落ちないんだ?」

山田がくすくす笑う。
「でもさすがの野口もこれは知らないでしょ?」
「なんだよ?」
「桐生部長に連れられてチコちゃん第3会議室に入って行ったよ」
「は?」
「まずいんじゃないの?」

「お前!昨日も言ったけどな。大事なことは俺に先に言えよ!第3な!」
「おぅ。頑張ってこい!」

桐生さんは口が上手くて有名な営業の猛者だ。
あの穏やかな口調で相手を自分の懐に入れるのがうまい。

チコちゃんなんか簡単だよ。

くそ。
桐生部長が会社内で動くとは思わなかった。

俺はノックもしないで第3のドアを勢いよく開けた。





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