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インタビュー
第6章 シーン3(想い)
僕は寝室でシーツをもう一度貼り直した。これからの撮影は打ち合わせなし、アドリブで行う。僕の仕事は美しく撮影した素材を編集し、作品に仕上げることだ。本当の監督は僕ではなく、亜紀さんと蓮君だった。そして休憩はそろそろ30分を過ぎていた。

「そろそろ次、始めますか?」
僕は寝室から声を上げた。別室から「はい」と短く、蓮君の声が聞こえた。ふたりが部屋の中で動く気配がしていた。僕はハンディカメラを手に取りふたりを待っていた。

「お願いします…」
少しして寝室に亜紀さんと蓮君が入ってきた。いつものジーンズにTシャツ姿に戻った亜紀さんが、一瞬だけ気恥かしそうな顔でカメラを見ていた。その後ろから蓮君も少し緊張した顔で僕を見た。

「今度は…蓮をお願いします」
亜紀さんが僕に口を開いた瞬間、蓮君が深くお辞儀をした。僕は素直に頷くと、ハンディカメラを蓮君の顔に向けた。

「蓮君、やっぱりイケメンだね!」
思わず口に出た僕の言葉に、蓮君は恥かしそうにはにかんだ。そしてベッドの端にゆっくりと腰を掛けた。

「今度は…僕を撮ってください」
僕をしっかり見据え、蓮君がハッキリ言った。僕はもう一度深く頷くと、カメラのセッティングを始めた。そして亜紀さんは午前中に蓮君の座っていた椅子に腰をかけた。

「じゃあ、始めようか?」
メインカメラをスタートすると、蓮君が一度だけ咳をした。そして亜紀さんに一瞬視線を向けると、蓮君はカメラを見据えた。亜紀さんはそんな蓮君を少し不安そうに見つめていた。

「じゃあ、蓮君…どうぞ」
僕はすべてを蓮君に任せた。その代り、ふたりのすべてを完全に映像に残す覚悟は持っていた。

「蓮…18歳です。看護大学に行っています」
「物心ついたころから母と二人暮らしです」
「そして…母を尊敬しています」
蓮君が話を始めると、亜紀さんは目を瞑った。それは蓮君の言葉をすべて聞き漏らさないよう、集中しているように見えた。
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