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Autamoon(秋月夜)
第2章 ハイヒール
 
 
 ハイヒール…

 子供の頃…

 なんであんな踵が細く、不安定な靴を履くのだろう…
 と、本当に不思議に思っていた。

 だが、成長するにつれ…

 大人への階段を徐々に登る自覚を持つにつれ…

『ハイヒール』の持つ意味と、魅力が解ってきたのだ。

 そしていつしかわたしには

『ハイヒール』は…

 大人の女性の象徴になっていた。

 早くハイヒールが履けるようになりたい…

 早くハイヒールの似合う女に…

 大人になりたい…

 早くハイヒールを履いて街を闊歩したい…

 大人の女性の象徴、憧れの存在となったのだ。





 そして、今…

 そんな大人の…

 ハイヒールの似合う女になったと思う、いや、なれたのだ…



「あぁぁ…」

「なに?」

「あぁ、じ、女王様ぁぁ…」

 男は、わたしの脚元にひざまずき、両手で神々しくハイヒールを包んできた。


「こ、このハイヒールを…これを…私の口にぃ…」

「なに、お前の口に欲しいのかい?」

「あぁ、はい…ぜひ女王様のこの素敵なハイヒールを口に…くださいませぇ…」
 男は、そう懇願し、哀願してくる。

「しょおがないわねぇ、この変態男が…」

「あぁ、ぜひ、この美しいハイヒールを…」

 そう…

 わたしはハイヒールの似合う…

 素敵な大人の女…

 それも…



 女王様になったのだ…




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