この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Autamoon(秋月夜)
第3章 宝探し
午前10時…
それは朝の家事を終えた人妻の、ホッと一息つける時間…
そして人妻は、冒険の旅に出掛ける…
午前10時…
夫と娘を会社と幼稚園に送り出し、洗濯物を干し、掃除機を掛け終えてホッと一息入れようと朝食時に煎れた残りのコーヒーをリビングのソファーに座って飲む…
ある意味、人妻の一日の最初の至福の時間といえる。
「ふうぅ…」
『今日は一日中お天気が良く、最高のお洗濯日和になるでしょう…』
と、朝のテレビのお天気お姉さんがにこやかに言っている。
どうしようか、お布団も干そうか?…
そう逡巡しながら、無意識にスマホを手に取る。
そうだ、これ次第にしようかな…
これ次第…
それは私のもう一つの午前中のルーティンである『出会いサイト』だ。
(35歳、都内在住の専業主婦です。
これから逢える方いませんか?
160-84-58-86割り切り希望♡)
そう書き込みをする。
ブッ、ブッ、ブッ…
すると、3分と経たずに次から次へとメールが着信してくる。
(こちら40歳都内営業マンです。
込み3でどうですか?)
(22歳大学生です…)
(33歳夜勤明けでムラムラしてます)
等々の返信メールが矢継ぎ早に着信してきた。
そう、出会いサイトは女性の書き込みならば一瞬の内に、山の様に返信がくるのだ…
そしてそれはある意味宝探しの山ともいえる。
なぜなら、その数多のメールの山の中から、これは、というメールを探し、その相手と出会うのだから…
わたしはそんな宝の山から、当たりを探す…
だが、なかなか当たりは少ない…
そしてヘタすれば、宝くじよりタチが悪い…
ましてや宝くじは10枚買えば必ず1枚分の金額は当たるのだが…
しかし、このお宝の山からはそれは無い…
いや、どちらかといえば、ほぼリスクばかりといえる…かもしれない。
それも危険なリスク…
でも、この朝の、息抜きの一時…
なぜか、この宝探しが止められないのである。
そうしている間にも…
ブッ、ブッ、ブッ、ブッ……
と、休む間もなく返信メールが届く。
うーん…
どれにしようか…
宝探しが止められない…
それは、まるで海賊の冒険の旅…
そう…
『わたしは…海賊王になりたい…』