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Autamoon(秋月夜)
第12章 ルナティックブルー
 ②

「でもぉブルームーンとかぁ、スーパームーンってぇ、なんなんですかぁ?」
 わたしは全く興味がない故のそんな質問をする。

「まぁ興味がなくちゃ、さっぱりだよなぁ…」
 と、そう呟き、そしてその二つの月の呼び名の由来を話し始めてきた。

 ある意味、密室といえる自動車内での帰り道にそんな話題が出来て、内心わたしはホッとしていたし…
 おそらく部長もそうであったのだとは思われる。

 ただ…

 わたしは、部長を嫌いではない…
 いや、内心、男としての存在価値としてはタイプ、ドンピシャであったのだ。

 一応、彼氏はいるのだが、既に大学時代からの3年の付き合いで、正直、最近はマンネリ化していた…
 かといって、部長と不倫するという考えはあり得ない。

 だが、この狭い車内に二人きり、往復約四時間、上司と部下という関係で同乗しているのではあるのだが、逆にかえって、それが余計にお互いの気を遣う感じになっていたし、いや、現実的には気を遣っていた…
 だから、この『スーパームーン』
『ブルームーン』の話しは、ナイスタイミングな話題ではあったのだ。


「ふうん、そうなんですかぁ、じゃあ、今夜の月は奇跡的なんですねぇ…
 なんとなくわたしはぁ、スーパームーンに興味あるしぃ、見たいかなぁ…」 

 そんな部長のウンチクを聞いて、わたしは本当にそのスーパームーンを見てみたくなっていた。


「うーん、そうだなぁ、今夜は夜空もすっきりしているしなぁ…」
 部長はハンドルを握りながら、そう呟き、そして…
「あっ、そうだ…」
 と、まるで少年みたいに目を輝かせ、わたしを見てくる。

「帰り、少し遅くなってもかまわないか?」

 え…
 その部長の言葉に、一瞬、ドキッとしてしまう。

「え、あ、はい…」

「よし、じゃあ、遠回りになっちゃうんだが、絶好の場所があるんだよ…」

 え…

 絶好の場所って…

 わたしはすっかり昂ぶってしまう。

「え…」

「もうさぁ、そこならさぁ、スーパームーンが目の前にあるくらいに見える場所があるんだ」
 と、まるで少年の頃に戻ったかの様なキラキラに目を輝かせてそう言ってきたのだ。

「あ…は、はい…」

 あ、なんだ…

 月が、スーパームーンが見える場所かぁ…

一瞬、昂ぶり、盛り上がってしまった自分の想いに恥ずかしくなってしまう。



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