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Autamoon(秋月夜)
第5章 アスリートの憂鬱
 
「はぁぁ…」
 練習を終えシャワーを浴び、カラダを拭いながら姿見を見る。

 その写っている全身の姿を上から下まで眺めていくと…
 思わずそんなため息が漏れてしまう。

 邪魔にならない様に髪はベリーショート…

 毎日、毎日、ミスが怖いから何百本ものシュート練習をした為に自然と付いた、肩から二の腕にかけての硬く盛り上がっている筋肉…

 発達した背筋から広がるガッチリとした肩幅と筋肉…

 常に走り、揺れると邪魔という脳からの無意識の指令のせいと、やたらと発達してしまった大胸筋のせいもあるのか、子供並みのペチャパイ…

 割れたシックスパックの腹筋…

 一歩目からダッシュが出来、そしてギュッと止まれるようにと激しく走り込み、鍛えた強靭な足腰の筋肉…

 ビルドアップされたふくらはぎ…

 ストップアンドゴーの全ての圧力を受けている事による足の親指の裏、付け根、そして踵にできてしまっている固いマメ…

 まるで女ゴリラじゃないか…


「はあぁ…」

 毎回、毎日、シャワーを浴び、姿見を見る度に…
 こうしたため息が漏れてしまう。



 この前、久しぶりに同級生の女友達とお茶をした。

 その彼女は長い髪…

 柔らかそうなカラダとふくよかな胸…

 そして綺麗でかわいいネイル…

『来春に結婚するの…
 式に来てくれるわよね…
 スーパースターの貴女が来てくれたら式も最高に盛り上がるしぃ…』

 まるで真逆、正反対な存在だ…


「はあぁ…」

 考えれば、考えるほど、憂鬱になる…

 そりゃあ好きで始めたこの競技…

 プロに憧れ、必死に練習をし、ようやくトッププレイヤーにまで掛け登れたのだが…

 本当に、女ゴリラだ…

 姿見を見る度に、一日一度は憂鬱に堕ちる…



「なにをそんなにため息をしてるの…」

 そう囁きながら、ルームメイトの彼女が裸のわたしに絡み付き、指先でこのカラダを愛おしそうに撫でてくる…

「ああ、素敵なカラダ…」 

 そして彼女は指先でシックスパックをうっとりした目で撫で回す…

 カラダの奥がジワリと疼き始めてきた…


 だが…

 だけど、わたしは…

 男が欲しい…

 女として男に愛され、抱かれたいのだ…



 憂鬱な昂ぶりの夜が…

 今夜も…


 また、わたしを淫らに狂わせる…





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