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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
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「ボーイッシュって…、ぼ、僕は男だよ…」
 そう、笑って返す。

「うん、ごめん、でもね、なんかね、そんな感じに可愛く、魅惑的に見えちゃったのよね…」

「そ、そうなんだ…」

「うん、そ、そうなの…
 そしてね、それでね、そんな可愛い、女の子みたいな繊細な感じの男の子がさぁ、まさに、わたしの好みのタイプだったからさぁ…

 それからは駿くんの事が気になっちゃって、気になっちゃってさぁ…」

「え、あ、う、うん…」

 僕はそんな舞香ちゃんの言葉に、話しに、ずうっとドキドキと高鳴っていた、いや、少しずつときめきをも感じつつあったんだ…

「もう気になっちゃってさぁ、毎日こっそり駿くんの様子をチェックしたりさぁ…
 ほら、カンコ、杉山和美が小学生時代からの幼馴染だからカンコにさり気なく駿くんの様子を訊いたりさぁ…」

 カンコ…
 杉山和美は同じクラスの女の子。

「でね、見るたびに、見かけるたびにね、どんどんキレイ、あ、キレ可愛くなってきてて、わたしはどんどん駿くんに夢中になっちゃってぇ…
 しかもさぁ、冬休明けたら成績も爆上がりしててさぁ…」

 そうだった…
 僕は、天才の葵さんとの『飴とムチ』の家庭教師により、成績が一気に爆上がりしたんだ。

「…でね、もうすっかり駿くんに夢中に、ううん大好きになっちゃって…
 つい、バレンタインチョコとラブレターまで書いちゃったの…」

「あ、でも、僕は、返事さえ書かなくて…」

 それに対しては、今となっては申し訳ない気持ちでいっぱいであるのたが…

「え、あ、うん…
 でもね、それはね、大好きなアイドルにファンレターを書いちゃった感覚だったから…
 あまり気にならなかったの…
 でもね…」

「え、で、でも?」

 でもってなんだろう?…

「でもね…
 あのね、なんかさぁ、春休みが終わったら、更にいい感じにキレ可愛いい駿くんになっちゃってさぁ…
 それに三年生に進級したら同じクラスになっちゃったからさぁ…

 もう、夢みたいでさぁ…」

 確かに、同じクラスになってからは、舞香ちゃんの視線、存在感は気になる感じではあったのだが…

 それと平行して僕は、ますます、どんどん、葵さんに対して夢中になっていったし、心の中はますます女の子化していっていた時期であったから…




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