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  バガテル第25番イ短調  (エリーゼのために)
第1章 エリーゼのために…
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「ねぇ駿くん、今日、この後の予定は?
 あ、勉強するの?」
 と、急にハイテンションになって訊いてきた。

「え、あ、いや、何もないけど…」

「じゃあさぁ○○ショッピングモールに一緒に行こうよ」


「えっ」
 いきなりの誘いに驚く。

「初デート、お付き合い記念の初デートしようよっ」
 明るく、嬉しそうに誘ってくる。

「う、うん」

「やったぁ、じゃあ行こう、決まりね」

「う、うん…」

 イヤでは無かった…
 ただ、あまりの急な展開にまだ心が追いついていなかったんだ。

 だってまだまだ、いや、全然立直れていないのに、このいきなりの展開を予想すらしてなかったから…

 今度は動揺の揺らぎに変わってしまっていたんだ。

 なぜならば嬉しい反面、自分に対する葵さんへの想いの自虐と罪悪感が…
 いや、この舞香ちゃんの存在感に浮かれ、高鳴り、昂ぶる毎に僕の心を責めてきていたから。

 あんなに葵さんの事を愛していたくせに…

 大好きで大好きで堪らなかったくせに…

 そして、居なくなってあれほど衝撃を、ショックに打ちのめされていたくせに…

 なんて僕は、お調子モノでズルいんだ…と。

「じゃあさぁ、うんとねぇ、準備してさぁ、1時間後に駿くんの家に迎えに行くからぁ」
 と、舞香ちゃんは急に立ち上がり、そして…
「1時間後に行くねっ」
 そう言って走って帰ってしまう。

「あっ…」
 僕はそんな走り去る舞香ちゃんの後ろ姿を見ながら、まだベンチに座っていた。

 ドキドキ…

 ウズウズ…

 ザワザワ…
 と、心は高鳴り、高鳴り、騒つき…

 ウズウズ…
 そして、自虐の想いも起きていた。

 舞香ちゃんと付き合う…

 思わぬ流れの展開に、いや、ほぼ一方的な舞香ちゃんの押しに流されたカタチではあったのだが…

 決してイヤではなかった。

 だが、そんなイヤでは無いという事が…

 葵さんに対しての自虐と罪悪感の想いが余計に比例して湧いてきていたんだ。

 だけど、もう、うんと返事を、付き合う了解をしてしまった…

 とりあえず家に帰って出掛ける準備をしなくては…

 僕は立ち上がり、家路に向かう。


「ふぅぅ…」
 思わずため息をついてしまう。

 そして僕は…

舞香ちゃんと付き合う事にイヤではない自分が…
 
 嫌であった。




 
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