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担当とハプバーで
第7章 皮肉のパーティ
これ以上はたとえ小声でも昼間のカフェでは耐えきれないと言うように、残りにかぶりついた。
しかし、予想外だ。
ホストに恋しているのはなんとなくわかってたけど。
まさか枕まで。
いや、使った金額的には色管か。
なんで一晩で後悔しなかったんだよ。
ハマってんじゃねえよ。
さっきの動画を思い返す。
サングラスにオールバック、剃り上げたサイドに、シャツの隙間から覗いた刺青。
馬鹿にするような仕草に、色気ある目つき。
あれ、同世代だよな。
くそ、イケメンだったな。
食べ終えた皿を脇に避けながら、スマホリングをかちゃかちゃと弄る。
付け合わせのポテトを一本ずつ食べるのを見ながら、ベッドでの姿を想像してしまった。
胸の膨らみと色白の腕、すぐに赤くなる頬。
うわ、最悪。
それはマナー違反。
そんなに溜まってないのに。
「ごめんね……」
「なにが」
「ううん。本当に面倒なこと話してるって思って」
「まあ楽しいけど」
半分本音。
店員がケーキを持ってきたので、パスタの皿を下げてもらってから、持ち帰りでジンジャエールを頼んだ。
ニューヨークチーズケーキか。
好みが一つわかったのに、面白くない。
「前にオレのこと軽蔑してたくせにな」
「えっ」
「好みのホストにやられちゃ、別問題か」
「さっさと食べ終わるから、外出て話そう」
そう早口で呟くと、残りのケーキがみるみる消えていく。
一足先に立ってから、伝票を片手にレジに向かう。
急いで追いかけてきたのを横目に、電子決済で済ませる。
扉を開けてから、千円札を取り出すのを手で制した。
「誘ったのオレです。大人しく奢られて」
「……ゴチになります」
会社のビルの裏にある公園は、平日の昼休みに集まる背広の男たちがちらほらとベンチに腰掛け、犬の散歩のおじいさんがいる程度。
駆けまわる子供の代わりに、ベビーカーに乗って眠った赤ん坊が横切っていく。
端のベンチが空いていたので、そこに腰掛けた。
ベンチ同士の間隔が空いているので、カフェよりも雑談がしやすい環境だ。
「二回も寝て彼氏にバレなかったの」
「……本当に直球。バレたよ」
「オレならショックだなあ。彼女がイケメンホストに何度も食われてるとか。浮気もそうだし性病も気になるし」
あ、正直に言いすぎた。
じゃり、と砂を擦るヒールの音。