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担当とハプバーで
第6章 墓まで連れ添う秘密たち
着いたのは歌舞伎町を出てから四十分後。
到着と同時にハヤテが電子マネーで会計を済ませた。
開いた扉から海風を感じる駅前に降り立つ。
「お金は」
「今日は凛音は一円も使わない。俺の貯金いくらだと思ってんの」
手を繋いで駅前を横切る。
いやだ、顔が全然落ち着かない。
交差点を渡って、大きなアルファベットが壁面に飾られたホテルに連れられる。
多分ラブホテルなんだろうけど、フロントが広く、安心する清潔感。
「ちょっとここで待ってて」
ハヤテの言葉に素直に立ち止まると、カウンターの中の女性に予約のことを告げる。
なんとかバラ様という響きが聞こえた気がした。
はっとする。
本名の苗字だ。
抑える間も無く思考が無限に広がる。
何原なんだろう。
下の名前までは名乗らなかった。
ハヤテ、はやはり偽名なんだろうか。
ここで待てという意味はそういうこと。
キーを受け取ったハヤテが戻ってくる。
私の表情はよほど分かり易かったらしい。
「聞き耳立ててました、じゃないんだよ」
「ごめんなさい……」
「エレベーターこっち」
恥ずかしさに顔を抑えながら後ろに続く。
キャップを被っていると、街中で背中を見ても気づかないかもしれない。
そんなことをすぐに考えてしまう。
ボタンを押して、ジリジリするほどゆっくり扉が開く。
フロントの割にはそれほど広くない密室で、八階までの沈黙に耐えきれるかなと思っていると、振り向いたハヤテが私の肩を掴んで壁に押し付けると、いきなりキスをした。
何が起きたのか理解する前に、記憶の通りに口を開いて受け入れてしまう。
長い舌がためらいなく入ってきて、緊張でぬめっていた口内を舐めまわされる。
「んんっ」
目を閉じてハヤテの胸に両手ですがる。
顎を掴まれ、真上を向かされるとより奥まで舌が侵入して来た。
ガクガク、と膝が震えて崩れそうになる。
おもむろに唇が離れたかと思うと、電子音が鳴って扉が開いた。
ハヤテは口を拭ってから、ふっと口の端を上げると、無言で私の手を引いた。
暗い照明の廊下を進んで、突き当たりの扉の鍵を開くと、どこのデラックスルームというほど広い部屋に唖然としてしまう。
二面に大きな窓、椅子とソファが二脚。
キングサイズのベッドは花びらが散りばめられていて、天井にはシャンデリア。