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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第11章 明美 40歳
今夜も夫の帰りが遅い。
午前様になってご機嫌で帰ってきた夫に
毎晩大変ねとイヤミを言うと
「接待なんだよ
楽しいはずないだろ」
そう言いますが女にそんな嘘は通じません。
脱いだ夫のスーツからは甘ったるい匂いがしています。
たまに下着に絶対に口紅だとわかる赤いシミもあったり…
そんなストレス続きの私のもとへ
一枚の葉書が届いた。
高校の同窓会のお誘いです。
出席したい旨を夫に告げると
「奇遇だな、俺もその日は出張なんだ
たまにお前も羽根を伸ばしてくるがいい」と
トランクにおしゃれな下着を積めながらそう言った。
出張?
またまた、そんな見え透いた嘘を…
どうせ、女と不倫旅行するに決まってる。
同窓会に出席した私は
鬱憤晴らしのように次から次へと酒をあおった。
「同窓会、吉村が来てくれるのもこれが最後かもね」
当時、仲良しグループだった親友の加代子が
寂しそうにそう言った。
上座に座る担任の吉村先生には当時の面影はなく、
歩くのにも杖が必要で見るからにヨボヨボになっていた。
「それよりも…あんた、そんなに飲んで大丈夫?」
見かねて、そんな気遣いをしてくれた。
「これぐらい大丈夫よ」
そう言ってみたものの視界がグルグルと回り始めていた。