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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第11章 明美 40歳
二次会のお誘いを受けましたが
とてもではないけれど酔いが回って楽しめそうもありません。
心残りではありましたが
丁重にお断りして帰途につくことにしました。
まっすぐ歩いているつもりでも
千鳥足で、あっちへ向いたりこっちへ向いたり
挙げ句の果てにはポストにぶつかりそうになる始末でした。
クラクラとしてぶっ倒れそうになった瞬間、
私の腋に手を差し込んで「大丈夫?」と支えてくれる男性がいました。
「ありがとうございます」
礼を言うために、その方のお顔を見て驚きました。
その男性は同窓会に出席していた大野くんでした。
在学中はイケメンでスラッとしたスタイルで女の子にモテモテだった彼も
今ではすっかり禿げ上がって小太りの体型になってしまって挨拶をしたときなどは会場のあちらこちらから失笑と驚きのどよめきがあったものでした。
「明美さんだよね?木下明美さん」
「ああ…今は結婚して園川明美と言います」
そう言って、ほら、証拠よと
私はわざとらしく左手のくすり指のリングを見せた。
「ええ、そうでしょうとも、この歳で独身なのは僕ぐらいですから」
そう言って笑った大野くんの笑顔は
当時の面影をしっかりと残していました。