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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第17章 咲恵 37歳
病棟勤務ならば来る日も来る日も採血をしなくて済みます。
点滴はあるけれど
一度針を刺してもらえればあとはコックの切り替えだけで済むので、私としては大助かりでした。
そんなある日の事です。
私は夜勤なので準夜勤の方と申し送り事項のミーティングをしていました。
そのミーティングで看護師長から
「個室に入られた手術を終えたばかりの高校生の男の子は要注意です」と言付けがありました。
「すいません、要注意とは?」
私は大手術をしたので感染症などに注意することかなと看護師長さんに尋ねてみました。
「ご家庭が裕福なのかしらね
足首の複雑骨折の修復手術なのに個室を利用しているのよ」
そういう事は多々あるので何が要注意なのでしょう?
「その子ね…とても、わがままなのよ
事あるごとにナースコールで呼び出すのよ
でも、呼ばれたからには無視するわけにもいかないし…
だから、カチンとくる言葉を横柄に言ってくるけど、そこは笑顔で対処してくださいね」
ああ、そういうことね
たまにいるのよね
ナースを家政婦かなにかと勘違いするバカが…
そうこうするうちに
要注意人物と言われた高校生の男の子は
静かに寝ているようで病棟は平穏な時間が流れていきました。