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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第18章 祥子 32歳
酒を注ぐのが当然だと言わんばかりに、男はグラスを差し出して私の目の前に掲げました。
怖くて震える手はうまくお酒を注ぐ事が出来ずに
ビシャっと男の膝元へ垂らしてしまいました。
「この野郎!汚しやがったな!!」
容赦なく男は私をビンタしました。
一瞬、意識がぶっ飛びそうになるほどの強いビンタでした。
「許してやってください!
顔は勘弁してやってください!!」
借金のカタに私を売り飛ばそうとした夫ですが
そこはやはり愛し合っている者同士なので、
夫は私を許してやってくれと泣きついてくれた。
「うるせえな!何をしようと俺の勝手だろうが!!」
男は夫のシャツの胸もとを掴んで立たすと
抵抗できないのを良いことに
グーパンチを何発も夫の顔面に叩き込みました。
あっという間に夫は鼻血を噴き上げ口からも鮮血を流し、端正な顔はみるみると腫れ上がりました。
「奥さん、あんたが言うことをきかないと…
あんたの旦那さん…死ぬぞ」
まるで地の底から聞こえてくるような
低く不気味な声でした。