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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第2章 三香子 49歳
それから5日後…
あと二日で再び健三さんのお宅を訪問できる。
私は体の疼きが止まりませんでした。
早く二日が経たないかしら…
そんなことを思っているときでした。
介護事務所の電話がけたたましく鳴り響いた。
健三さんが息を引き取ったという連絡が入った。
久方振りにお身内の方が様子を見に行ったら
布団の中で息を引き取っている健三さんを発見したのだとか…
私は驚いてお葬式に参列しました。
遺影はかなり若いときのものでした。
最近はお出かけもなく
写真を撮ることもなかったそうです。
60代とおぼしき健三さんの遺影は
とてもハンサムでした。
もし、この時に出会っていたら
私は心底惚れてしまったかもしれません。
「生前は父がお世話になりました」
ご子息が丁寧に私に挨拶をしてくれた。
「たぶん、あなたが生前最後の訪問者だと思います。楽しかったのかもしれません。
なんたって父は笑みを浮かべて事切れていたのですから」
それを聞いて私は涙が止まりませんでした。
私が無理をさせたから寿命を早めたのかも…
そう思うと悔やんでも悔やみきれませんでした。
第2章 完