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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第19章 樹理 32歳
夫がベッドで爆睡している。
この頃、残業続きで疲れているのね…
私は朝食を兼ねた昼食つまりブランチのお皿に
ラップをかけて『チンして食べてね』とコメントを添えた。
「あら、もうこんな時間だわ…」
壁時計に目をやって
私は大急ぎで支度を始めた。
私、樹理は三十路の主婦です。
絶賛子作り中ですが、今のところ懐妊の兆候はありません。
夫との夫婦仲は良好です。
結婚して6年目ですが
子供がいないせいか、今も新婚気分です。
専業主婦だと気楽に思われそうですが
ご近所付き合いなどで
働きにでている奥さま方とは違った意味でストレスを抱えています。
そんな私のストレス発散は
中学生の頃から趣味だった絵画を描くことです。
学生時代は美術部に籍を起き、
来る日も来る日も絵筆をキャンバスに走らせたものです。
そんな私の趣味を理解して
夫は絵画教室に通うことを快く許してくれました。
絵画教室といっても、毎日、絵を描きに行くわけではありません。
週に平日の二日だけのお遊び程度の教室。
なので通う生徒さん達はそれなりにお年を召した暇そうな老人が多かったのです。