この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第20章 知世 35歳
私、変な癖があるんです。
生理前になると万引きしたくなっちゃうんです。
もちろん、いけないことだとわかっています。
だけども、体が勝手に動いちゃうんです。
お刺身とかお肉のパックとか
高額な商品はいらないんです。
チョコレートとかガムとか
子供でもおこづかいで買えそうなものを
ドキドキしながら
自分のバッグに忍ばせる高揚感を得られたいんです。
今月もまた生理が近づいています。
ドライブで車を走らせていると、
自然と目ぼしい店を探している自分がいました。
『あっ!』
大通りを外れた裏道に冴えない寂れた店舗がありました。
私はたまらずウズウズしてしまいます。
車を駐車場に停めて
バッグを手にして車を降りると
それだけでアソコがジンジンと疼いていました。
ブラのカップの中では乳首が痛いほどに勃起しているのがわかります。
店内に足を踏み入れただけで
軽いエクスタシーを覚えました。
寂れた店舗なので店内はガラガラでした。
当然です。
ここに来るまでに大型のスーパーがありましたから
お客さんは当然のようにそちらに流れてゆくのでしょう。
何も買うものがないのに
私は店内を物色します。
飲料水のコーナーに差し掛かると
その通路には人影もなく
まるで私に持って帰って欲しそうにコーヒー缶が誘ってくるんです。
私はコーヒー缶を一本だけ手にすると
さりげなくバッグにそれを落とし込みました。
ハアハアと自然に呼吸が荒くなってきて
足早にお店を出たその時でした。
「お客さま…」
背後から、おじさんの店員に呼び止められたのです。