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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第21章 貴理子 27歳
遊園地のステージ控え室…
私は午後の部にスタンバイするために
服を脱いで戦隊モノの女性戦士のスーツに着替えていました。
コンコン…
「貴理子さん、ちょっといいかな?」
敵の怪人役のスーツアクターが部屋を訪ねてきました。
「は~い、何のご用かしら?」
私がドアを開けると相手役の男性と
もう一人初顔の男が立っていました。
「?」
怪訝そうな表情をしてしまったので
相手役のスーツアクターさんが
「ごめん!貴理子さん。
俺、急用が出来てしまって彼に代役を頼んだんだよ」
「まあ、そうだったの?
でも、大丈夫?殺陣は覚えたの?」
そのように辛気臭い男に向かって尋ねると
「ええ、多分大丈夫だと思います…」と
不安そうな返事をしましたが、
まあ、そこはベテランの自分がリードしてあげればいいと「まあ、何事も経験だし…とにかく頑張ってね」と彼を励ましました。
そして、いよいよキャラクターショーの午後の部が開演しました。
新人の彼の出番は一番最後です。
お互いにソードを振り回しての殺陣が見せ場のひとつです。
なんとか無事に終わりそうで
最後の殺陣です。
私の一撃で倒れる予定が
何を勘違いしたのか、おもいっきり振り回した彼の太刀が私の腹を撃ち抜きました。