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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第21章 貴理子 27歳
「ぐっ!!」
太刀筋は見事に私のみぞおち辺りに綺麗にヒットしました。
思わず片ひざをついて痛みを堪えましたが
ここで演技をストップするわけには逝きません。
襲いくる吐き気を我慢しながら
なんとか必殺技を出して怪人役の彼をやっつけました。
舞台の幕が終わり
私はヨロヨロと控え室に飛び込みました。
ヒロインのスーツを脱いで下着姿になると
私のお腹には綺麗な一筋のアザがくっきりと浮かんでいました。
堪えきれずにソファに横になっているところに
例の新人くんがノックもせずに控え室に飛び込んできた。
「きゃっ!」
飛び起きたいところですが
痛みが増してきたお腹が悲鳴をあげて体を起こせませんでした。
「すいません!大丈夫でしたか?」
私が下着姿だというのに
彼は手にしていたアイスバッグを私のお腹に乗せた。
『大丈夫だから出ていって…』
そう言おうとしましたが、
彼の真摯な姿に気圧されて何も言えずに彼に身を任せました。
「俺、剣道の有段者なんです
ものすごい手応えがあったので肋骨とか心配で…」
「大丈夫だと思うわ…
当たる瞬間に咄嗟に体を引いたから」
だから、心配しなくていいの
とりあえず出ていってよと
彼の体を押し返そうとしました。