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第1章 由恵　28歳

結婚して二年ほどは賃貸ハイツで暮らしていましたが
どうせ家賃を払い続けていくのなら
その分をローンの支払いにすればいいじゃないかと
思いきって中古物件を手にいれました。

ところが
思いがけない円安とコロナショックが重なってしまって
夫のサラリーが減らされてしまったんです。

こうなると最初からギリギリの生活でしたので
家計はあっという間に火の車になりました。

そこで、私は思いきってパートタイマーで働くことにしました。
私を働かせることに夫は「すまん…俺が甲斐性なしだから…」と卑下する姿にいたたまれなくなったのです。

「ううん、けっこう私はパートのお仕事を楽しんでいるから大丈夫よ」

夫に心配をかけまいと
お仕事はしんどかったけれど
家庭では極力明るく振る舞っていました。

そんな、ある日の事です。
私は思いがけずパート先の職場で
これまたバイトで働く高校生の男の子に口説かれ始めたんです。