この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第31章 倫子 30歳
「ねえ、何でも言うことを聞いてくれるんだよね?」
その日、セックスを終えて帰り支度しながら
彼はおもむろにそう言ってきました。
「ええ、何でも言ってちょうだい」
「俺さあ、温泉に行きたいんだよね」
彼は私に温泉に連れていけというんです。
もちろん費用は私もちです。
そんなお金なんてないわと拒もうものなら
「何でも言うことを聞くって言っただろ!」と
また癇癪を起こすのに決まっています。
「じゃあ…夫が出張の時にでも…」
私は彼に嫌われたくなくて
ついつい、そんなことを言ってしまったのです。
その約束は意外と早く訪れました。
急遽、夫が出張に行くことになったんです。
キャリーバッグを転がして駅に向かう夫を見送ったあと、私もボストンバッグに着替えを詰め込んで
急いで彼の待つ駅に向かいました。
私のへそくりで遊びに行くのだから
そんなに遠出は出来ません。
なので目的地は箱根温泉にしました。
近場ですけれど
彼と初めてのとお泊まり旅行なので
まるで新婚旅行に行くみたいに私の心は踊っていました。
電車に揺られながら
彼は私の耳元に口を寄せて
「なあ、お前は尻にチ○ポを入れたことがあるか?」と尋ねてきたんです。