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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第4章 千夏 22歳
「雅之くん、千夏さん、ばんざーい!!」
会社の同僚たちが
東京駅の新幹線ホームで奇声を上げる。
「ちょ、ちょっとやめてよ!
昭和の新婚旅行じゃないんだから」
親友の花枝と公佳に無理やりブーケを持たされて
出発時間ギリギリまでバカ丸出しで記念撮影を撮られまくった。
私は恥ずかしくて
早く「のぞみ」に乗り込んで
座席に座って体を隠したい気分でした。
通りすがりの外人の旅行客が
なんとなくハネムーンだと察してくれて
「congratulation!」とサムポーズで祝福されたりで私は頭から湯気が出るほどに赤面した。
「恥ずかしがらなくていいさ、
みんなが俺たちを祝ってくれるんだ
もっと嬉しそうな顔をしろよ」
肩を抱いて密着しながら
新郎の雅之はとびっきりの笑顔で撮影に応じていた。
ようやく発車のチャイムがホームに鳴り響いてくれたので、
私は助かったとばかりに
足早に車両に乗り込んだ。
『もう!だから国内旅行なんて嫌だったのよ!』
海外旅行ならば
国際線の搭乗口ゲートに入ってしまえば
そそくさとあのハレンチな連中とおさらばできたのにと今更ながら国内旅行にしたことを悔やんでいた。