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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第36章 芽衣 31歳
月曜日…また新たな一週間が始まろうとしていた。
「ねえ、あなた…今夜は早く帰ってこれるの?」
モーニングコーヒーをカップに注ぎながら
芽衣は夫に尋ねてみた。
「そうだな…久しぶりに定時に帰ってこようかな…」
「じゃあ、あなたの好きなスタミナ丼にしようかしら…」
「おいおい…俺はそんなにスタミナ丼なんて好きじゃないよ
いくら精をつけてもお前の相手はしてあげれないよ」
まるで久しぶりの夫婦生活の営みを催促しようとするのを制するかのように
夫はセックスはしない宣言をしました。
『なんでこんな男と結婚しちゃったのかしら…』
私は夫との結婚を後悔していました。
セックスが好きな女と淡白な男…
世の中にこれほど不釣り合いな夫婦はいないと思ってしまいます。
夫を見送って掃除をしていると
廊下の外が騒がしい…
引っ越し業者のようです。
一時間ほどバタバタした挙げ句
「これが最後の荷物です」
ダミ声の男の声がしてようやくマンションに静けさが戻りました。
これで落ち着いてティータイムにできると思ったのもつかの間でピンポーンとインターホンが鳴り響きました。
「どちら様ですか?」
「あの…隣に引っ越してきた富山といいます
お引っ越しのご挨拶に…」
まあまあ、ご丁寧に…
私はドアを開けて驚いてしまいました。