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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第38章 京香 33歳
夕方の5時…
私は出勤のために濃い目のメイクをする。
職場ではマスカレードマスクをするので
メイクなんて手を抜いてもいいんだけれど
これは私が私生活と仕事を切り替えるためのスイッチみたいなもの。
私の旦那は呑んだくれで
本当にどうしようもない男。
酔っ払った挙げ句に見ず知らずの男に手をあげて怪我を負わせて、今は刑務所というところでお勤め中…
そんなに蓄えもなかったし、
傷害の慰謝料などでスッカラカンになってしまいました。
私は元々ソープで働いていたのですが
私も喧嘩っぱやくて客といざこざを起こして
その筋では顔が割れてしまっていて
どこの店も雇ってくれません。
でも、パートタイマーなどでは暮らしが成り立たず
かといって事務とかは出来ないし、
これといった資格もないので
流れ着いた先がSMクラブ…
でも、案外と性にあっているのかもしれません。
Sっ気のある私はサドの女王様として
今では店から重宝されています。
今夜もミニスカートをなびかせて
毛皮のコートに身を包み
シャネルのサングラスをかけて颯爽と出勤です。
同じアパートの住人は私と顔があうと
まるで私を疫病神か何かのように
そそくさと背を向けてしまいます。
バカにするならすればいいわ
底辺でもがいている女ですけど
旦那がお勤めを終えて帰ってくるまでは
しっかりとお金を貯めなきゃね