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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第42章 芽衣子 37歳

ラブホテルのベッドがギシギシと軋む。

若い頃にアメフトをやっていた彼のガタイは逞しく、上から覆い被されて責めてこられると
身動きも出来ないほど服従された気分を味あわせてくれる。

「芽衣子、そろそろ出すぞ」

「ええ、来て…
私も逝きそうだから…」

彼というのはもちろん夫の事ではない。
不倫相手の事です。

彼は夫とは学生時代の頃からの親友で
結婚式にも来ていただいたほどの仲です。

もちろん私たちは夫妻も
彼が彼女と挙式をする際には夫婦揃って結婚式に参列しました。

そんな風に私が婚姻する前からの顔見知りで
彼の奥さまとも顔馴染みでした。

私たちは夫婦同士で
かなり頻繁に遊びに出掛けました。

冬にはスキーにも行きましたし
夏にはビーチでテントを並べてキャンプなども楽しんでいます。

そしてさかのぼること5年前…
恒例となっている海水浴キャンプに行ったときの事です。

彼の子供が風邪を引いて発熱したので
彼の奥さまはキャンプに来ることが出来ませんでした。

子煩悩の彼も今年はキャンプに行くのをやめようかなと言い出したのですが、
なにせ毎年恒例のキャンプを人一倍楽しみにしていた夫が「お前一人でもいいじゃないか、せっかくのキャンプなんだから参加してくれよ」と頼み込んで渋々ながらも彼は一人で参加してくれたのです。

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