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女の性癖、男の嗜好…(短編集)
第42章 芽衣子 37歳
「おいおい、そんなに呑むと悪酔いするぞ」
キャンプ初日の釣りで
釣果を得ることが出来なかった夫はむしゃくしゃしていたのでしょう。
いつも以上に飲酒のピッチがあがり
缶ビールを何本も空にしていました。
「ふん!お前はいいよな
大物を釣り上げたのだから」
そう言って彼が釣ったクロダイを捌いて
刺身にしたものを肴にぐいぐいと酒をあおった。
当然の事ながら
普段の飲酒量をはるかにオーバーしてしまい
テントにもぐり込むなり大いびきをかいて爆睡してしまいました。
焚き火を挟んで
「ごめんなさいね…大人げない態度を取ってしまって…」と
私は彼に謝りながらビールのお酌をしました。
「いえいえ、お互いに親友でもありライバルなんですから釣果が逆になっていれば酒をあおって酔いつぶれたのは僕の方ですよ」
あいつのお守りでくたびれたでしょ?
さあ、芽衣子さんもたまにはゆっくりと呑みましょうよと
彼は紙コップにビールを注いで私に勧めてくれました。
「じゃあ、ちょっとだけ…」
自然と彼の手から紙コップを受け取るために
私は彼の隣に腰かけた。
「いつもどんなことで競い合ってるの?」
「えへへ、些細なことですよ
街のスナックで飲んでいても
どちらが先にカウンターレディを口説けるかとかね」
「まあ!お互いに既婚者なのに
水商売の女を口説いたりするの?」
そりゃあまあ…男ですからね…
そう言って彼は今夜は芽衣子さんを口説こうかな?
なんて言い出して私の肩を抱いてきました。