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最愛の人
第38章 目に見えない傷
私は過ぎていく日々の中、何か大切なことを忘れていく感覚に気付けていませんでした。

それは私の気持ちの問題だけでなく、他の方やタイミングなど。
様々な要素が絡み合っていくことになります。


ある日、ご主人様から電話がありました。

「愛莉、めでたい話があるんだ!
愛瑠が妊娠したそうだ」

「本当ですか?

あぁ、よかった…良かったですね」

「ふっ。
そうだな、良かったな」

「おめでとうとお伝えしてもらっても宜しいですか?」

「直接言ってくればいいだろ?
それくらい許すぞ」

「えっ?
だって『かいと!何してるの?』

「悪いが切る。
また連絡するよ」


電話の向こうからは…小さな男の子の声がしました…
それに…ご主人様は気付いていない…
私が愛瑠さんや美智瑠さんの家の場所を知らない事も、ご主人様の自宅の場所さえも聞いていない…

ご主人様…私は知らないです……
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