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最愛の人
第39章 悲劇
『愛莉ちゃん、少しこの先生とお話してくれるかい?』

「?はい。」


『こんにちは。
私は近藤千花と言います。
覚えてるかしら?
以前は看護師として顔をあわせてるんだけど?』

「あっ!あの時の!
その節はありがとうございました。
今はお医者さんですか?」

『覚えててくれたのね。
うれしいわ!
元々医師の資格は持っていたのだけど…
私も奴隷だから、その時のご主人様のご気分で看護師をしていたの。
今は掛け持ちをしてるわ。
愛莉さんと呼んでもいいかしら?』

「はい、近藤先生」

『ふふっ。
千花ちゃんでもいいのよ?

愛莉さんは妊娠15週ね。
間もなく16週に入るけど、不安なことはない?』

「…

私はお母さんになれるのかな」

『どうしてそう思うの?』

「だって、この子を危険に晒したんです。
この子はまだ小さいのに。
普通ならお母さんが守らなきゃいけないのに!」

『大丈夫よ?
赤ちゃんは大丈夫。
今こうしてお母さんが心配してくれて、思っていることは伝わっているから、大丈夫よ』



その後、近藤先生いや、千花ちゃんと色々話している内に誰にも話したことがないことまで…
ずっと隠していた、蓋をしていた気持ちまで…

千花ちゃんは手を握って、頭を撫でで、ギューと抱き締めてくれた。

『ずっとずっと我慢してたのね?
でもね、吐き出しちゃったら楽じゃない?』

「すっごく!」

『貴女の大切な人は、受け止めてくれない人なの?』

「あっ!


ちゃんと受け止めてくれると思う…」

『だったら、素直に話してみたらどうかな?』


話してもいいんだ?
ご主人様ならちゃんと受け止めてくれるよね?

ご主人様、話を聞いて下さい!
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